そんなスクワットが苦手なあなたにお送りします。
まず最初に結論です。
スクワットのバランスは重心の位置で決まる。
後方重心だと爪先が浮く
前方重心だとかかとが浮く
それでは深堀していきましょう。
Table of Contents
スクワットのバランスは重心の位置で決まる
スクワットの時の重心ってみなさんどこにありますか?
かかとですか?爪先ですか?
正直どちらも良くないです。
理由は、重心が偏ると太ももの裏の筋肉やふくらはぎ、太もも前の筋肉に負担がかかるからです。
この重心がかたよる現象は、スクワットだけではありません。
普段の生活から重心が偏っている可能性があります。
・立ち上がり
・電車での立ち姿勢
・座っている姿勢
生活のあらゆる場面で重心の偏りが出てきている可能性があります。
人間の重心の位置は骨盤あたりにあります。
なので、骨盤の傾きや背骨の湾曲(猫背や反り腰など)により、重心の位置はかなり影響を受けることになります。
後方重心だと爪先が浮く
では、それぞれのケースを見ていきたいと思います。
まずは、爪先が浮いてしまうパターンについてです。
これは後方重心になっていることが挙げられます。
後方重心になってしまっている方の特徴としては、骨盤が後傾(後ろに倒れている)している可能性が高いです。
骨盤が後傾する原因としては、腹筋・背筋の筋力の低下や膝の伸びに制限があることなどが挙げられます。
骨盤が後傾している状態でスクワットをすると、足の付け根を曲げることが出来ず、背骨を曲げて重心を前に無理やり移動させてしまいます。
なので、太もも前の筋肉に負担がかかります。
このような姿勢が長く続くと、もも前の筋肉に関連する痛みが生じてきます。
着地動作の時にこのような姿勢になると、ジャンパー膝や膝の靭帯損傷になりやすいため、注意が必要です。
ジャンパー膝については過去に記事にしているので、気になる方は参照してみてください。
ジャンパー膝についての記事はコチラ。
後方重心のスクワットを改善するポイントです。
・背スジをしっかりと伸ばすこと
・足の付け根(股関節)をしっかり曲げること
・上半身をある程度前へ傾けること
この3つです。特に足の付け根(股関節)を曲げる感覚が少ない方が多い傾向があります。
足の付け根に指を置いたり、何か細長い棒を付け根に置いたりして、下腹部とももで挟み込むようにスクワットをするとうまくいきます。
前方重心だとかかとが浮く
反り腰が原因で前方重心
次に前方重心の場合です。
前方重心の方の特徴としては、主に反り腰になっている方が多い印象です。
この反り腰の姿勢の方は、腹筋・背筋の筋力の低下が見られることが多いです。
科学的な根拠はありませんが、臨床経験的に、背筋を使いすぎている人が多い印象があります。
男性の場合ですと、重量物を運ぶことが多い仕事の人。
女性の場合ですと、ちょっとふくよかな方で、体前面に軟部組織が多い人に反り腰の姿勢が多い印象です。
これは体幹の機能が問題というよりは股関節の形が問題のことがあるので、一概に修正することができるとは言い難い場合があります。股関節の部分についてはまた別の記事にて紹介していきたいと思います。
足首が原因で前方重心
腰のことを書いてきましたが、足首が硬い場合もかかとが浮く傾向にあります。
足首の返りが硬い方は多くいると思います。
いわゆるしゃがみ込み(ヤンキー座りや和式便座へのしゃがみ込み)ができない人はかかとが浮く傾向があると思って良いと思います。
臨床では、学生さんなどの若い方もしゃがみ込みができない人が増えているように感じます。
椅子での生活様式が増えて、床にしゃがんだり、正座をしたりするライフスタイルが減ってきていることが原因なのではないかと個人的には考えています。
必要な足首の角度
話がそれましたが、足首の返りはどれくらいあるといいのでしょうか。
スポーツでの動作において、着地動作の時には膝下の骨が45°位前に傾くことが理想とされています。
そのため、足首の返りも最大で45〜50°位あることが理想的です。
この足首の返りを獲得するためには、単純に足首が柔らかい状態であることも大事ですが、足首を支える筋肉(特にふくらはぎ)もしっかりと力があることが重要です。
特にスクワットの時に足の指に力が入ってしまう方は注意が必要です。
足の親指を曲げる筋肉がちょうど足首の後ろを通過しています。
そのため、スクワットの時に足の指に力が入っていると、足首の円滑な動きが妨げられてしまいます。
スクワットの時は、足の指に力を入れないようにして行うと良いです。
また、後方重心の部分でも記載しましたが、前方重心の方でも足の付け根をうまく曲げられない状態でスクワットをしている方もいますので、しっかりと足の付け根(股関節)を曲げることも重要です。
前方重心の弊害
前方重心ではどのような弊害が出てくるのでしょうか。
結論としては、ももの裏やふくらはぎに対して影響が出てきます。
もも裏の筋肉固くなり、肉離れになりやすかったり、ふくらはぎに負担がかかってアキレス腱炎になったり、ひどいとアキレス腱の断裂につながったりします。
過去に担当した患者さんの事例を紹介します。
とある患者さんは、妊娠・出産をきっかけにアキレス腱炎になりました。
それがずっと治らず、最終的にアキレス腱断裂になってしまい手術をしたという方を担当したことがあります。
重心の位置って大事ですね。
前方重心のスクワットを改善するポイントを箇条書きにします。
・お腹に力を入れながら動作を行う
・足の指に力を入れないようにする
・足首が硬い場合はストレッチなどを行い、
関節が動く範囲を予め広げておく(膝を曲げた状態で45°〜50°が目安)
まとめ
今回はスクワット動作でバランスを崩す原因について述べてきました。
前方重心・後方重心、両方に共通する物としては足の付け根をしっかりと曲げるということです。
スクワットの動作はどうしても膝を曲げるという感覚を強く持っている方が多いようですが、正しい動作、負荷の少ない動作を実現するためには足の付け根(股関節)をいかにしっかりと使っていくかということが重要です。
若干別件にはなりますが、今回の重心の位置に関しては、腰痛や肩こり、四十肩、五十肩の原因になることもあります。
心当たりのある方は、ご自身の重心の位置に関心を向けてみると良いと思います。
今回紹介した前方重心・後方重心意外にも、体が捻れてしまったり、重心が左右に偏ったりしてしまう方もいますので、左右均等にフォームをチェックしながら行えると良いですね。
それでは、今回はこのあたりで終わりにします。
辻端大輔:スクワット動作を利用した姿勢補正で起こりやすい障害の予防につなげる 2013
小笠原一生:スクワット動作の味方とそこからの発展的トレーニング 2013