変形性関節症

膝の変形⁉︎ 症状は?原因は?改善策は? わかりやすいまとめ

「最近なんだか膝が痛い…」整形外科にかかってみたら、膝が変形しているなんて言われたことありませんか?「変形」なんて言われてしまって、体の中でとんでもない変化が起きていると思っている方もいると思います。

でも大丈夫です。病院に長く勤めているとよく聞く診断名です。それが!「変形性膝関節症」です。

みなさん、こんにちは!ねこまるです。

「いきなり膝の変形と言われたって…。」

そんな方のために!膝の変形についてわかりやすく解説してみました。お役に立てれば幸いです。それでは行ってみましよう!

症状

主な症状としては階段や歩き、しゃがみ込みなどの動きた時の痛み

曲げづらさ、伸びづらさなど、膝の動きの制限

膝に水が溜まる、熱をもつなど膝の腫れが主な症状です。

原因

なぜこのような症状になるのか。原因は軟骨のすり減りです。

しかし、最近の研究では、膝の滑りをよくする滑膜と呼ばれる膜や、関節を包む袋、骨の変形、半月板のすり減りなど様々な影響があると言われています。

関節以外の問題では、筋肉の硬さや膝周りの組織が原因で痛みが出ている人もいます。

まとめてしまうと、膝周りの何かしらの組織に炎症が出ているともいうことができます。

炎症についてすこし詳しく

この項目では炎症について少し詳しく書いていきます。

何らかの原因で、膝の滑りを良くする滑膜に刺激が加わると炎症が出現します。

軟骨や半月板のすり減りによって、関節内に浮遊物ができ、それが炎症を引き起こす説や、そもそも関節にストレスがかかるから炎症が起きるという説もあります。特に膝のお皿周りの滑膜は膝の痛みとの関連が強いです。

肥満も原因の一つと考えられています。整形外科の先生から、「痩せろ」と言われた方もいると思います。それもそのはずで、肥満細胞から分泌されるタンパク質が原因で炎症性物質が多くなることも報告されています。

平地歩行では体重の3倍ものストレスが膝にかかります。膝にかかるストレス的にも、炎症性物質的にも肥満は良く無いということですね。

痛みの出始めは炎症を抑えることが必要です。膝にかかる負担を軽くしたり、炎症を抑える薬や注射を使用することがあります。

膝の負担が増える原因

膝の関節は曲げ伸ばしだけだだから、負担が増えるってどうゆうこと?って思っている方もいるかもしれません。

実は膝の動きは繊細なんです。

膝は曲げ伸ばしだけでなく、捻れる運動もしています。
曲げるときは内捻り、伸ばすときは外捻りになっています。
(もも裏の筋肉や半月板、骨の形状によって捻れが起こるとされています)

膝の変形がある方は、この捻れがおかしくなっていることがあります。
スクワットなど、膝を曲げる動作で内捻りが出て欲しい場面で外捻りのまま動かない人もいます。

歩いている最中も捻りの動きは出ていますが、変形があると捻りの動きが出ない人もいると論文で報告されています。

これは膝の動きを少なくして、痛みが出ないようにしていると考えられています。
また、歩き中の外捻りが大きいと、O脚方向への膝の動揺に繋がります。

このようにして、膝の内側・外側に徐々に負担がかかっていき、炎症を起こし、膝は変形をしていきます。

改善策(鍛えると良い2つの筋肉)

  • 足を横に広げる筋肉(中臀筋)

    この炎症を防ぐために研究ベースで有効なのは、股関節の筋力強化です。

特に足を外に広げる力の強化によって、痛みが軽減した論文があります。

この足を横に広げる力、膝に力学的に良い影響を与えるかと言われればそうでは無いですが、骨盤の安定性が向上します。

骨盤の安定性が向上すると、膝に対してストレスが減る研究結果があります。

  • 太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)

 

この筋肉は名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。大腿四頭筋といいます。

歩行中、膝への衝撃吸収に関与している筋肉です。
大腿四頭筋の筋力が低下してくると膝の変形の発症リスクが上がるという論文があります。

この筋肉の筋力低下に伴い変形が出現し、膝に炎症が起きます。

膝に炎症が起きると水が溜まる。

水が溜まると大腿四頭筋に力が入りにくくなるため、さらに筋力低下が進行するという悪循環に陥ります。

この大腿四頭筋の筋力強化により、膝の痛みが改善したという論文もあります。

アメリカの診療ガイドラインでも、大腿四頭筋のトレーニングを推奨しています。

まとめ

いかがでしたか?

変形性膝関節症について、出来る限りわかりやすく解説してみました。論文ベースでも「これをすれば必ずよくなる‼︎」なんてものはいまだに見つかっていないのが現状です。

膝の痛みの原因も、個別の事情が大きく関与します。

例えば、仕事の負荷量だったり過去の怪我だったり、体型、姿勢などなど。例を挙げればキリがないです。

膝そのものだけではなく、全身的にどのようにストレスがかかっているのか、何が炎症を起こしているのか。しっかりと原因に辿り着けるように、医師やリハビリスタッフと二人三脚で頑張ってください。

今回の記事が少しでもお役にたてば幸いです。

参考文献

木藤伸宏ほか:変形性膝関節症に対する保存療法の変遷.2018

工藤慎太郎ほか:変形性膝関節症の評価.2018

徳田一貫ほか:変形性膝関節症の保存療法における筋力.2018

島田昇:変形性膝関節症の保存療法における可動域.2018

平川善之:変形性膝関節症の理学療法における痛みの捉え方.2018

川上翔平ほか:エビデンスを参照した変形性膝関節症患者に対する理学療法の考え方と進め方.2019